063856 ランダム
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行列のできる?! 引越相談所!

消えた依頼人

消えた依頼人!

車を運転していると、携帯電話が鳴りました♪
事務所からの電話です。「ハイ!ムービングマスターです。」と電話に出ると、店長から「急な見積りがNG市で入ったけど何時にいける?」との事、1件下見を終わらせると夕方6:30頃には行ける事を伝えると、お客様の電話番号を聞きお客様の田代様(仮名です)へ電話をし、夕方に伺う事となりました。

引越の営業マンは土・日はもちろん、夜の8時すぎとかでもお客様の要望があれば見積りに伺うのですよ(;;)。
夕方6:30に伺うと、田代様が一人でみえました。 田代様は30代の男性の一人暮らし、2LDKのお部屋はしっかり片付いていて荷物もそれなりにそろった生活は、ちゃんとした仕事をしている方という印象を受けました。

実は今回の引越は急に引越が決まったので、今週末(4日後)の日曜日に荷物を引き取って倉庫で預かり、そして2週間後に新居へ運んでください。という依頼でした。
支店の倉庫を確認すると幸いにも空きがあり、料金も見積り時点で引越代金と倉庫保管料もすぐに支払っていただける方の為、支店の方もOKとなりすぐに契約となりました。

引越の営業マンで一番うれしい事は、お見積り時点ですぐにご契約(即決♪)をいただける事です。特に今回は引越代金に加え倉庫の保管料金も加算されるので単価が上がります。
あぁ~なんて田代様はいい人なんだろ~と思いながら引越を待つばかりとなりました。

引越当日は、特に問題も無く積みあがり田代様の連絡先が出張先のホテルになる為、携帯電話の番号を伺い本日は終了となりました。
そして2週間がたち、引越日の前日となりました。事務所から移動中の私に携帯電話が鳴り♪「明日引越で倉庫から荷物を運び出す予定の田代様だけど、電話が通じないけどムービングマスターは引越先の住所知っている?」との事。私は「見積り時点ではまだハッキリ決まっていないから、決まり次第連絡すると言っていましたが…。」
とりあえず、最悪明日まで連絡を待って待機することとなりました。

そして引越当日。
  田代様からの電話を待ち待機する作業員達は・・・・・ボー・・・・・。 待ちぼうけです。店長から私へ「オイオイどないナットンネン!(怒る時は何故か大阪弁の店長!)」とお叱りを受けます。
「私も全て事務所へ確認をして了解をもらってますが~。」とりあえず田代様が以前住んでいたマンションの大家さんをさがし連絡先を聞きに行きましたが、その大家さんが控えている連絡先はつながらず、勤め先も架空?という事でどうする事もできません。

仕方なく、田代様から連絡を待つこととなりました。
3日たち、5日たちやっぱり連絡がありません・・・・。
1週間・・・2週間・・・1ヶ月と月日はたちますが田代様から連絡はありません。

2ヶ月・・・3ヶ月と連絡が無い為、顧問弁護士に相談したところとりあえず「内容証明」を田代様が以前住んでいたお宅に郵送することにしました。 もし郵便局へ転居届けがしてあれば、郵便物がどこかに届くはずという事で早速てはいをしたところ・・・・「宛て先不明」と郵便物が戻ってきました・・・(;;)

仕方なく、荷物の中を見て連絡先になるようなものが無いか探すことになりました。
当然他人のものですがこの際仕方ありません! しかし住所の書いてあるようなものは出てきませんでした。
とりあえず、引越会社の「運送約款」の中で半年はいろいろな制約がある為そのままにする事となりました。

それから1年・・2年と月日が流れ、年末の大掃除には「あの荷物どうする?」と社内の議題にのぼるのですが・・・
という事で引越から2年が過ぎ、会社としてもうダメ!「あの荷物処分しよう!」となりました。
もちろん顧問弁護士さんも法律的には「放置」ととれるでしょうと言うことで荷物は「処分」しました。

そして会社の決まりとして、「倉庫の保管は前面禁止!お客様が希望する場合は倉庫保管会社をお客様へ紹介し、お客様が倉庫保管会社と契約すること」という決まりまでできちゃいました。

それから月日がたち私たちもすっかりあの荷物の事も忘れていたところ事務所へ1本の電話がかかってきました。

ルルルル♪ ルルルル♪ ガチャ!
事務所:ハイ○△□引越しセンターです。
田代様:引越の荷物を預けている田代ですが・・・。
事務所:んん?保管ですか?イヤ私どもではお荷物の保管はやっておりませんが、いつ頃ですか?
田代様:3年ほど前にムービングマスターさんに頼みましたが。
事務所:3年前ですか!(実は店長も変わっている)一度ムービングマスターに確認しますよ。

という事で、私へ事務所から電話がかかってきました。
事務所:あのさぁ~田代さんて人が3年前に君に引越の荷物の保管を頼んだてっ電話があったけど、知ってる?
私  :田代さん・・・(・_・)エエ‥!あの荷物の人だ!ヤバイナーていうかあの方の荷物は2年ほど保管して、弁護士さんの了解で処分しちゃてますヨー。
事務所:本当に!あっあの話の人か(会社内では有名な話です)どうする? 私  :どうすると言われてもねー。放置プレイだからもう処分したて言ってくださいよ!
事務所:俺が、イヤだよ~お前面識があるからお前しろよ! という事で、しぶしぶ私が田代様へ電話をすることになりました(;;)。。

私  :田代様ですか?
田代様:あぁームービングマスターさん、ごめんごめん連絡が遅くなってあの荷物を運んで欲しいんだけど。
私  :実はですね、内容証明で手紙を送ったりしても田代様が全然連絡がつかず、月日もたってしまったので2年目で処分したんですが・・・
田代様:なに~!人の荷物を勝手に処分したんかコラー!どういう事やお前んとこの引越屋は!人のもんをかってに捨てるんか?!全額弁償してもらうぞ~!今から会社へ行くぞー(チョット怖い系になってる)
私  :申し訳ございませんが、こちらも一度検討してご連絡します。
田代様:やかましいわい!それ相当の金額を弁償してもらうぞ!
私  :すいませんが、とりあえず明日連絡しますので!
と言うことで、電話を切りました。

もう会社の中は大騒ぎ、3年も前に消えた依頼者が今頃になって出てきても荷物ないし・・。
とりあえず弁護士さんに聞いたら、「強気で出てください!逆に2年分の保管料金を請求 するぐらいで」と言う力強いお言葉で翌日会う事となりました。

翌日、田代様が私どもの会社に見えて…
田代様:どういう事、お客の荷物をかってに処分するなんて!
私  :そうですね、お約束の日時が大幅にすぎ内容証明郵便や引越約款の6ヶ月を大幅に超える2年ほど保管しておりましたが、こちらも保管料金の負担もかなりあり弁護士さんに相談の上処分となってしまった訳です。
田代様:なにが弁護士じゃー!他人の荷物を勝手に処分して訳ないやろ
私  :私どももお約束の日時に来ていただければ問題なかったはずでし、基本的な責任は6ヶ月をすぎて2年近くも保管していました、
その保管料も発生しているわけですから、仕方なくこういう形になりました。
田代様:仕方なくもクソもないって、家財道具や思い出の品も含め、1,000万円ぐらいの弁償はしてもらうぞ(`◇´)#!
私  :イエ!私どもとしましては実際にかかった保管料金なども請求することができますが、荷物も無いということもあり、できればこちらが請求しないということで終わりにしていただければと考えたおりますが。
田代様:話にならんわ(`‥´)フガー! 出るとこでるぞー!
私  :そういう事であれば、是非そうしていただいても結構ですが、こちらとしては逆にそうなっても問題無いと思っております。
ところで田代様は何故4年もご連絡いただけなかったのですか?
田代様:あぁ~…まぁいわゆる「別荘じゃ!」3年ほど実刑食らって刑務所にいたんじゃ!だから連絡できるかぁー!だからいろんな知り合いもおるんや!トコトンいったるぞー!(3年前とかなり印象がかわちゃいました。
私  :なるほどそういう訳ですか…。とりあえず一度こちらも検討しなければすぐにお答えできませんので・・・。
田代様:おぅーこっちも手を打つぞ!覚悟しとけ#!

という事で、この日はお帰りいただきました。
「消えた依頼人」の謎はなんと引越の荷物を預けたまま警察に捕まってしまい、そのま ま連絡がつかなくなったわけです。
3年の実刑ですが、何をやったかわ分かりませんが たぶんつかまりそうな気配を感じ、 とりあえず家をもぬけの空(よくテレビでありますね)にしてから後日連絡しようと考え ていて警察に捕まっちゃたんでしょうね。

ところで、この後はどうなったかと言うと。
田代様から文句の電話は何回かありましたが、私どもの会社の方針は変わることも無く、 弁護士の先生のお名前で「内容証明」をお出しし、ご不満があれば文章で弁護士あてに お願いします!と送りつけるとその後は何も言ってこなくなりました。
たぶん田代様もあきらめつつも、お金になればと考えたのでしょう。

私としては「消えた依頼人」の謎がとけ、ミステリーをひとつ読み終えた感じです(^ж^)/~


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